コラム

ハワイ島の聖なる"白き山"~マウナ・ケア~

ハワイ島にそびえるマウナ・ケア。

標高は13,796フィート(4,205 m)、富士山よりも429mも高く、その姿は晴れていればハワイ島のどこからでも見ることができます。

マウナ・ケアはもちろんハワイ諸島の最高点でもありますが、実は太平洋の海洋底から測ると、何と10,203メートルもの高さがあり、あのエベレストを抜いて世界で最も高い山であることは余り知られていないかもしれません。

マウナ・ケアの名前はハワイ語で白い(ケア)山(マウナ)という意味から来ているとされ、実際頂上付近には冬には雪が降ることから、古代よりハワイの人たちはこの山を「聖なる山」として大切にしています。

今回はこの"白き山"マウナ・ケアをご紹介します。



~ハワイの最高峰に登る~

マウナ・ケアへはヒロサイド、コナサイド、どちらからもサドル・ロードと呼ばれるハワイ島 の北部を横断する道から車でアクセスすることになります。





かつてはその"サドル(馬の鞍)"の名前の通りアップダウンの激しい細い道だったのですが、近年の拡張工事で舗装・拡幅されとても運転しやすい道路に生まれ変わりました。

このサドル・ロードからマウナ・ケア・アクセスロードと呼ばれる道を登っていきます。

富士山よりも標高の高いマウナ・ケア、一気に頂上に登ると急激な高低差による高山病にかかる恐れもあるので、大抵の人は山の中腹にあるオニヅカ・ビジターセンターで高度順化の為に立ち寄るのですが、このセンターで是非見ておきたいものが銀剣草、英語でシルバーソードと呼ばれる高山植物です。

銀剣草とはハワイ島のマウナ・ケアやマウイ島のハレアカラなどごく限られた場所にのみ育つ高山植物で、その名の通りその細い葉が銀色に輝いているように見える不思議な植物です。

この銀剣草の寿命は50年ともいわれていますがその一生に一度だけ長い花茎を伸ばして花を咲かせ、花が咲いたらすべて枯れてしまうという何ともはかない運命を持つ植物でもあります。

現在は絶滅の危機に瀕している銀剣草、センターの裏手に保護しているエリアがありますので是非見学してみてください。



~マウナ・ケア山頂でサンセットとスターゲイジング~

オニヅカ・ビジターセンターを出てしばらくすると、道は未舗装の山道になり、更にずっと登っていくとマウナ・ケアの山頂付近に到着します。

ここまで来ると雲は遥か下になり、サンセットの頃に山頂につけば、かなりの確率で見渡す限りの雲海に太陽が沈んでいく素晴らしいサンセットを見る事ができます。

更に運のいい人は1年に数度しか見られないという「グリーン・フラッシュ」と呼ばれる太陽が沈み切る瞬間に太陽の光が緑色に見える現象が見られる事も。

毎日登っている観光ガイドさんでもめったに見られないというグリーン・フラッシュ、ハワイではこれを見ると幸せになると言われています。

太陽が沈み切ると、今度は頭上に満点の星空が広がります。




見渡す限り何もない真っ暗な空に広がる無数の星達。正に"降ってくるような"星を見ていると空に吸い込まれるような錯覚にとらわれます。



~世界の天文台と聖なる山をめぐる問題~

1年の内、平均して300日程度の晴天率を誇るマウナ・ケアはその安定した天候と澄んだ空気のお陰で世界中で最も天体観測に適した場所の一つとして、アメリカ、フランス、カナダなど多くの国が観測所を設置しています。





日本の国立天文台もここにあり、すばる望遠鏡が設置されていることでも有名です。

しかし、現在このマウナ・ケアにThirty Meter Telescope (=30メートル望遠鏡; 略称TMT)と呼ばれるプロジェクトが進められているのですが、プロジェクトを巡ってハワイでは今深刻な社会問題が起こっています。

日本をはじめ、米国・カナダ・中国・インド等との共同プロジェクトであるこのTMT、マウナ・ケアを神聖な地とするハワイ先住民による反対運動が起こっています。

TMTは現在世界最高水準を誇るすばる望遠鏡をはるかに凌ぐと言われている高解像度・高感度の望遠鏡で、この望遠鏡により宇宙を様々な謎が解明されると言われていますが、ハワイの先住民にとって、ここは先祖代々聖なる場所として大切にしてきた山。

反対者によって道路を封鎖して望遠鏡建設の為の車両も通行を妨害するなどの反対運動が一時激しくなり、それに伴い観光の車両も通れない時期が続くこともありました。

宇宙の謎を解明したい気持ちと古代からの先祖の大切な土地を守りたい気持ち。解決には残念ながらまだ時間がかかりそうです。



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